[職員室の窓から何気なく校門前の様子を見る。
どいつもこいつもキラキラした顔をしている、ように見える。
新しい校舎での共同生活が楽しみな奴が多いのだろうか。それならば杞憂だなあ、なんて思いながら。
生徒の服装チェックが厳しく行われているらしい。初日からよくやるなあ、と苦笑いして見届ける。
チェックを行っているのは、団先生と同じく山吹高校出身の体育教師だが、その何倍も怖い印象を持つ先生。
真正面から怒鳴られたらひとたまりも無さそうな迫力があり、俺も苦手である。
様子を観察していると、生徒の中には派手な髪色をしていたり、遠目で分かるぐらいに服装を乱している奴も見かける。
そいつらは当然チェックに引っかかり、恐い体育教師に睨まれることとなる。]
自己表現に余念が無いっていうのかね。
[少し呆れつつも呟き、気持ちは分からないでもないので微笑む。
校則で縛れば破りたくなるのが高校生。自由を貫きたくなるのが高校生だ。
どうせ社会に出たらもっと酷いもので縛られることになるのだから、今のうちにやっとけとも思う。
俺は他の先生に比べて、違反には寛大なほうだった。
少なくとも梧桐ではそういうスタンスでやってきた。]
(103) 2014/10/15(Wed) 00時頃