29 Sixth Heaven


【人】 鳥使い フィリップ

― 個室3 ―
[駆け寄り腕を伸ばした先、マーゴは逃げるように身を引いた。
 壁がなければ抱き締められないように逃げたいのか。
 翠は一瞬だけ酷く傷ついた色をみせ
 両腕はその動作にそれ以上腕を伸ばせなくなる。]

 ばか……血の臭いがするんだよ……
 なんでも、ないわけ、ないだろ……

[ただ届く血の臭いに、今は自分の気持ちに蓋をし
 壁の血痕を思い出す……小さな右手の血痕]

 ……なんでも、ないなら。右手、だせよ……

[と、痛々しい笑みに語気強めに問い但しながら。
 背後から声がかかるも
 目の前が気になりふりかえれない。]
[マーゴが、少しずつ言葉を溢し始めれば
 眉がよってしまう。]

(102) 2011/04/22(Fri) 19時頃

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