[彼女の考えていること>>が口に出されていたのなら、何か述べたかもしれない。だが確かにそれは"余計な詮索"だと言えるだろう。
この男は詮索されたところで何も気にやしないが。
元より、この"強欲"というのはフォンブリューヌ家のことを指しているのかもしれないと考えているのだ。
美術品蒐集に明け暮れ戦争に見向きもしなかった祖父、それを反面教師にし時代遅れの王に媚びることに明け暮れた父。
…どちらもその欲が罪であるといえるだろう。
ならば自分は?
(……私は、勿論戦争とあれば指揮を執る。皇帝の言葉も聞き入れる。趣味に明け暮れて家庭を顧みない、なんてこともしない。
────ほら、私は無罪だ。)
誰に言うでもなく、心の中で呟いた。]
サクラコ…。では、そうさせていただきますね。
[浮かべられた笑みと所作に、もしやこの女性は東洋でそれなりの地位のある方ではないか、と仮説が立てられただろう。
…それならば、家名を知っている者がいないか確かめた先程の行為も頷ける。尤も、東洋人のそれは普段目にする者とは大きく違うのだが。
(102) 2016/02/24(Wed) 14時頃