[苦しみのせいでぽろぽろ涙が溢れるが、拭う余裕も無い。痛みに堪える様に目を固く閉じれば、楽しげなデメテルの声。何を言っているのか、もう聞き取る事さえも困難で]
[虚ろに目を開けてみれば、視界は残酷なくらい鮮やかな緑色に包まれていて。スローモーションの様にやけにゆっくりと、意識が闇へと堕ちていくのを感じながら]
[あぁ、やっぱり俺は闘うことなんて出来なかったんだ、なんて。抵抗も出来ず、こんなにも呆気なく。本当は、最初から分かっていたのかもしれない。自分が、生き残ることは出来ないと。力の無い自分は、主役になることなんて出来ないと]
(寧ろ、良くここまで生きていたと思うよ、俺)
[最期は、皮肉にもこの苦しみが終わる事に少しだけ安堵しながら。虚ろに目を開けたまま、彼の意識は沈み、そして二度と目覚めることは無かった]
(102) 2015/02/12(Thu) 00時半頃