「……ごほっ、ごほっ。……はぁ、はぁ……。なんでもないです。ごめんなさい。」
[その女性が咳混じりに吐き出した声は、まだ若くて。
どこか儚げな顔立ちを目にすれば、まるで俺と同年代くらいに見えた。]
人を呼んでくるから。ちょっと待ってて。
「いいです、やめてください。自分でやったことですから。」
自分で……?
そういや、どうして病院で煙草なんて。
[俺の手から逃げるようにして立ち上がる彼女は、息を整えると、睨むような目で俺を見てきた。
かなりの小柄で、俺の胸のあたりに頭が来るような身長差だった。俺がでかいのもあるが。]
「……捨ててあったのを拾ったんです。
早く死ねるかと思って。……思ったよりマズいですね、これは。」
[どこかガッカリした様子で、持っていた煙草とライターをゴミ箱へ捨てる彼女。
俺には、訳が分からなかった。]
(101) 2015/06/22(Mon) 17時頃