[空き地に向かう最中に近くの診療所の横を通る。
いつも子ども達が世話になっている診療所だ。
ちなみに、いつも嫌味を言われはするが、大人しく黙って聞いている。
こんなスラム街に住む孤児の面倒を診てくれる酔狂な医者などそういないのだ。
感謝こそすれども嫌味に苛立つ事は無い。
まあ、流石に嫌味に対して言われっぱなしもシャクなのでしっかり嫌味を言い返すが…。]
『イアン先生、今日いないみたいだねぇ。
僕、この前も先生に怪我診てもらったんだよぉ。』
[子どもの言葉に、一つだけ頷いて、また礼を言う理由が出来たと思った。
嫌味はその代償だ、有難く耳にする事にしよう。
ふと、辺りの連中がどこかに向かって歩いていくのを見た。
声を聞くに教団の人間が近くに来ているらしい。]
……チッ、教団の人間か……。
お前ら、あんまり教団の人間やら聖都の貴族やらに近付くんじゃないぞ。
[連中は死ぬ程嫌いだ。
スラム街に住む人間を人間として見ていない者が殆どなのだから。]
(101) 2014/08/13(Wed) 21時頃