[見たものを報告すれば、あとはそいつの証拠を抑えるなり、次の犯行を張ればいいだけだ。]
「邪視(イーヴィル・アイ)みたいだな」
[中には射すくめられたように動けなくなる者もいるからか、同僚のジェフリーにそう揶揄されたことがある。しかしその力を使って死刑台送りにしたやつはいれど、直接誰かを殺せるような力なんてものは、持ち合わせてはいない。馬鹿じゃねェの、とその時は一笑に付した。
どうして自分に、こんな力があるのか。
あまり気にしたことはなかったし、そういうものなのだと享受していた。
島の外で育った男は、知らない。
100年前、同じような力を持った者がこの島にいたことも。
その者は村人から"占い師"と呼ばれ、敬仰されていたことも。
血統なのか、島で生まれた者に現れる能力なのか。
男の邪視は、見抜いていたのかもしれない。
彼らの中に脈々と流れる血を。
まあその真偽の程は、定かではないが。]
(100) 2013/09/03(Tue) 21時頃