先生、おくすりは 今日でさいごにしましょ。[ぱっと見、問題なく輝く黒曜の両眼が瞼の下に眠っている。しかしそれが脳に映像を届けることはないのだ。もう人のままで視ることは、諦めたほうが良いのだろうと。――変化われば、どうなのだろうか と。まだ一度も”獣”になったことの無い少女はかわれるのかどうかにすら、不安を覚えつつ同じ獣の先生に、身を預ける。器官の欠損と言うよりは、もっと別のなにかが――。窓の外を彩る小鳥の囀り>>93に応えるように座った診療室の椅子が、キィ と乾いた音を立てた*]
(100) 2015/05/09(Sat) 23時頃