【人】 保安技師 ナユタ

ぅ―――ア゛…ッ゛！！

[振るわれた鉄の箱は飛び込んだ脇腹――傷とは反対方向――
に叩き込まれた。
呻き声と共に哲人へと雪崩れ込む。
床の上に潰れるように重なって、そのまま押さえ込むように身を起こすとあの時と同じく馬乗りになる。
あの時のようにうつ伏せでは無く、今は仰向けで、手も幾分か動かしやすくはあるだろうか。]

―――ひ…ははは、いい眺めだぜ？哲人。
今度、は　痛そうな顔も見せてくれよ。

[は、と微かに息があがっているのを感じたが、隠すようにニィイと笑って。]

何処から　イって　欲しい？

[左腕はだらりとしたまま、アーミーナイフをヒタと哲人の頬に当てた。
肌がつぷりと軽く切れて、赤い色が滲み出す。]

(98) sunao 2010/04/28(Wed) 04時頃