―異変の落ち着いた頃―
…移動しましょう。
ここは少々、危なすぎます。
[一瞬、地が膨れたのかと思うほどの異変。
先より更に崩れた学び舎に人の気配は無く、逃げ遅れた者は居なかったのだと安堵の息を吐いた。
雨が降って居よがお構いなしに立ち上る砂煙に咳きこめば、視界の外、コンクリートの崩れる音を聞く。
あまり長居は出来ない。
それに、どうしてこうも、空気がざわめくのだろう。
楔の場所を歴史書は知る筈もなく。
まさかチの下にあり、それがこの異変の原因だとは思いもせず。
朱の妙な態度>>92に僅か首をかしげたが、黒のジャケットで包んでやると有無を言わさずそのまま横抱きにして、別の、強い気配の昇る方へ。
治癒能力持ちの当ては少ない。
あるとすれば《チ》の守護者か。もしくは顔も知らぬ、現在の宝珠魔道士《ジュエリスナイト》筆頭殿。
そのどちらかであればいいと、気配を辿って。]
(98) 2014/11/17(Mon) 23時半頃