…………。
[返答はまたも、無し。出来なかった、と言ってもいい。いつものように、"からかうんじゃあない"と言ってやれれば、それで良かった筈なんだが。それが言えなかったのは……坊主が決して、からかっているわけじゃあないと思い知らされてしまった後だからか。
ともすれば触れてしまいそうな距離には内心ギクリとしつつも、それ以上に狼狽させられたのが、坊主のその泣き笑いのような顔だなんて。坊主に苛ついているのか自分に苛ついているのか、既にそれも分からんくなりながら続いた言葉に舌を打った。]
……ハ、生意気言うな。ミルクしか飲めん餓鬼が。
それに……、後悔するのは、お前さんの方だろうよ。
[後悔させない、だなんて。よくもまぁ、そんな事が軽々しく言えるモンだ。
ふかした煙を吐きながら、眉を寄せて軽く目を伏せて。そう、この先後悔するのなら、自分ではなく坊主の方だろう。
花の十代、まだまだ若い一番元気のあるその時期に。こんなオッサンに現を抜かして、そのうち後悔する事は目に見えている。
今は良くとも、一年、二年後。あるいは五年後に、やめておけばよかったとそう後悔するに違いないんだ。]
(97) 2015/04/10(Fri) 21時頃