― 魔性の病院 病室 ―
[生命の脈動以外にも命を発する囀り>>87。
このレディからは噛み殺したような声の次は甘い響きであった。
それを気にせず、手に触れていたひんやりとした骨の手は額にそっと乗せてみたりしつつ、首筋を渦を描くようになぞっていた指の動きは止めず、じっくりと浸透させるように呪を刻んでいく]
レディのお名前をお聞きするまでは、いつ頃になりまーすかーーねーー。
[間延びしたように声を響かせながら、目覚めるまで待つことなく骨は手を引いた。]
目覚めて、喜ぶか後悔するかは貴女次第でしょうーけどね。
《カラカラカラ》
[間延びした声のせいか、呑気に笑うように骨を響かせながら、運ばせた机の前の椅子に腰かける。
眼前には、羽根ペンとガラス瓶に入ったインク。そして羊皮紙の束。
その一枚を手に取っておくと、引きこもり伯爵はカリカリと音をたてはじめる。
時折立ち上がりレディの首筋に刻むように触れたり、ひんやりした骨手で触れてみたりしてはまた机に戻りつつ過ごしていただろう**]
(97) 2019/12/09(Mon) 19時頃