― 城のどこか ―[自室を出ると、そのままトレイルと別れ、己はとある人物を探す。目的は、温厚そうな目をした緑の吸血種だ。彼も今は森とやらに出ているのだろうか。だとすると、地の利のない己にはやや骨が折れそうだが。少しだけスーツのタイを緩め、以前彼が告げた言葉を思い出す。人間である自身と対比してみれば、瞳が僅か曇る心地だが、今更何を言い訳にしても意味がない。もう一つ思い出すのは、赤い世界で聞いた声だが。其方はもっと読めないと、重くなる瞼を、重力に逆らわせず*下ろした。*]
(96) 2014/02/04(Tue) 23時半頃