[困惑した様な坊主の目から逃げるように視線を外し、眉を寄せて遠くを眺め。
文句を垂れる坊主の正論(>>91)には、ぎろりと睨みを向けつつ……嫌いになると言われた理由を考えんのか、この餓鬼は。
先の坊主の言葉(>>92)には、"いらんと言って欲しいなら言ってやるぞ"、と。
目を逸らしたまま言ったモンでその後の反応は分からなかった――餓鬼が無理して笑う所なんざ、見ても何もいい気分がしない。
今日一番の失言に内心頭を抱えつつ、丸く見開かれた坊主の目(>>93)に視線を掠めさせて。
あぁまったく、忌々しい。何だって自分はあんな事を言ってしまったんだろう。
坊主の期待に応える気なんて、自分にはこれっぽっちも無い。……筈だ。
それなのに、下手に期待を持たせるような事は、たとえ勘違いだったとしても酷だろうに。
それとも、応えてやるつもりか――いや、それは御免だ。目の前に居るのが美女なら、腰でも抱いて了承の言葉も吐いたろうが……何度見ても、隣に居るのは貧相な男の餓鬼が一人。
しかし、掴まれた腕は終ぞ振り払う事ら出来ずに――全く忌々しい。
坊主に向けた言葉をそのまま、胸中で自分に投げかけていれば、唐突に引かれた手に体勢を崩す。]
(96) 2015/04/10(Fri) 21時頃