――ぇ、え、砂浜…?
[突然の声掛けに、怪訝そうな顔こそ予想していたものの――まさかそこまで撥ね付けられる>>95とは思っていなかったものだから、たじたじと身を引き掛ける。
どうやら要らぬ言葉は、飲み込んだ物だけではなかったらしい、と。
このまま非礼を詫びてそそくさ逃げ出すことも考えたけれど、思い返せば彼女が村を騒がせた時、自分はもう成人と言っても良い歳だった。
――尻尾を巻いて逃げ出すのは流石に、年上としてどうなんだ。
なんとも情けの無い思考を持て余して、退く足が一歩遅れた、頃。]
あー、……え?…うん?
そうか、それなら…無駄に足を止めさせてしまった、かな。
[勢いの良い言葉に目を白黒させながら、それをゆっくり飲み下す。
いったいどういう風の吹き回しだろうか、と。
ぐるりと目を丸めたまま――それでも、続いた言葉は拒絶には聞こえなかったから。
屈む彼女のつむじ辺りをまじまじと眺めた。]
……もう、家には帰るんだね。
[家が近くだから、なんて、そんな言葉に。薄く吐き出す息と共に声を落とした。]
(96) 2015/04/07(Tue) 00時半頃