(……私が必要とされる場所……?)
[…して。はっとしたように見張りの者へ目をやった。
大丈夫だ、気付いていない。白い靄はもうどこにもなく、力を使い果たし消えたのだろう。
どうして自分を助けるのか。
分からない、けれど……今チャンスを逃してはいけないことくらい分かっていた。
罠という可能性もあるが。きっと大丈夫と、根拠もない信頼を抱き]
………ありがとう。
[ぽつり、小さなお礼を。もう声も聞こえない靄へと告げて、思い切り力を込めて激しく損傷した鉄格子を殴り――鉄格子は、音を立てて壊れた。]
『な、何だ!?』
『鉄格子が……結界はちゃんと機能しているはずなのにどうして!』
[牢屋を出てしまえば此方のものだ。驚いたように叫ぶ教団の者たちを薙ぎ倒して、薄ぼんやりと光る目印を辿って駆け抜ける。
やがて辿り着いた先はどこだったか。そして、何があったのだろうか。]
(96) 2014/08/18(Mon) 22時頃