人狼議事

270 「  」に至る病


【人】 炉の番 チトフ

[ ――でも、その中にいつも僕はいなかった。
 いなかったよね。父さん、母さん。

 家の中に設けられた僕の部屋。
 夥しい本と武器と菓子に囲まれた”独房”の中。
 僕は使用人が放り投げた鼠の生き血を啜り窓の外を見る。
 (ドアも窓も、僕が外出できないよう施錠されていたけど)

 世界の福音は遥か彼方、僕の元へは届かない。
 でも、ねえ、お願いしたら叶えてくれるかな、ねえ?]

 サンタさん。僕、今年はとびっきりいい子にしてます。
 勉強もいっぱいしました、両親の言いつけも全て守りました。
 そうして全ての人々の幸せを祈り続けました。

 だから、ねえ――、お願い、サンタさん。

[吐息を吐けば室内だというのに寒く、息は白く。
 香る匂いは今しがた啜った鼠の血の生臭さ。
 (それでも、命を捧げてくれた君を儚く想う)]

(96) 2019/10/05(Sat) 22時頃

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