お疲れ様です。 俺は、今からモリ駅。
会議で出た通り、掲示物の最終確認をしてくるよ。
本番まであと少し。皆、気を抜くんじゃな…
――――痛ぇっ
[会議終了後のロビー内。振り返った瞬間、イベントに飾るオブジェの見本…「大理石レプリカモヤイ像」の鼻にゴスっと頭をぶつけた。
「北見さんこそ気を抜いてます」と、同僚達の笑いを誘う。]
失礼だな。俺は気を抜いていないぞ?
今はモヤイの襲撃にあったが、普段は高性能アンテナ装備だ。
例えば君が…口紅の色を、少し変えたのだって把握してる。
春らしい明るい色だね。とても、似合っているよ。
後でお茶でもしたいね、なんて。ここで行ったらセクハラかな?
それじゃ、行ってくるな。
[あぁまた…と呆れ顔の同僚と、
イケメン無罪を主張する女子社員達。
彼らに手を振り、いつも通り、職場を出た。
それは彼の、北見 圭一(24)の何気ない日常の風景。]
(96) 2016/06/03(Fri) 08時半頃