全戦無敗の記録更新に血道を上げますな。
お似合いでしょうに、老体の眼を思いやっては下さいませんか。
[含み笑いで、混ぜ返す言葉。
彼女の表情に一層唇は円弧に撓む。>>90
されども、彼女が続けた言葉には、おや。と心外そうな一声。
改めて彼女に向きを正せば、少しばかり頭の位置を下げて視座を重ねる。
会釈にも似た角度で、一蹴した彼女に囁く低音。]
いいえ、私は―――…、
御転婆で、向こう見ずで、拗ねやすく、泣き虫で、大胆不敵に、負けん気が強く、甘え上手な癖、情が深く、誠実で、優しく強く、躊躇いに転がり、熱意に燃え、現実に何度も躓いて、未だ未だ子供のような方が良うございます。
………貴女が、良うございますよ。
[はて、ご存じないとは知りませんでしたな。とばかりに、ひょい、と片眉を揺らしての語。
本音混じりの口先三寸は、またも彼女を呆れさせただろうか。]
(95) 2014/07/16(Wed) 01時頃