[>>67薫が傘を受け取るのに躊躇するが、私の身体を気遣っての事などその時は考える余裕も無く。体温を奪う雨粒と、内を支配する苛々と黒い靄。いっそ、体調を崩すなら崩せば良いし、放って欲しい気分だった。
>>65捜しに来てくれた笛鳥の事も置いて、足早に去ろうとしたが、其れでも追いつかれて。入る様に示唆した声に、ふとした事に苛立ちを当てつけてしまいそうになるが、其れでは薫に怒ったのと同じで、ぐっと堪える。]
……ああ。悪いな。
[その平静さはいつものものでは無く、何処か作られたものだと笛鳥は気付くだろうか。多少ぎこちなさはあるものの、感情の抑制をするのに今はそれが限度だった。少し顔を俯いて、差し出された傘を受け取れば自分よりも笛鳥が濡れない様に傘を持つ。
やがて大塚が来るだろうが、終始その間は笛鳥に任せて無言だった。]
(95) 2014/04/13(Sun) 12時半頃