……ヤナギ。可哀想なヤナギ。
僕と君は、本当は同じものだったのかもしれない。
[同じ半魔。同じ水の異能の持ち主。同じ人に想いを向け、同じように破れた。
しかし、彼にはなく、己だけが持つものも存在する。
全てを許し、認め、愛してくれる、唯一の安らぎ。
しかし彼に、その安らぎは与えられない。
それは魔の齎すものであり、ヤナギは――――対魔忍だ。]
君は対魔忍で、僕は魔に堕ちたものだ。
……君は、僕を討たねばならない。
僕だけでなく、ロイも、――Jも。
君がこの、狂った宴を終わらせなければならない。
それが出来るのはもう、君だけだ。
[己の肩に縋るままの手を取り、その甲に口付ける。
理性から逃れられない彼をより深く苛むよう、しかし声だけは優しいまま、囁きは落ちる。
深い苦悩と、煩悶と、絶望。
その色に染まる瞳を逃さぬよう、じっと、見つめたまま。**]
(94) 2016/06/16(Thu) 11時頃