― 夢 ―
青への、感謝を。
[それは欺瞞に満ちた祈りの言葉。
十人の灯台守は、この世界を維持するための生贄だ。
ならば一思いに殺せば良いものを、一生をかけてじわりじわりと絞め殺していく。]
こんな穢れた結界に封じられるなんて
貴方も無念でしょうね、"青の王"。
[怨嗟の声を聞いたような気がした。それは青の王の怨念か、それとも、死んでいった灯台守たちの嘆きか。
世界の維持と引き換えに、我々が得たものは何だ?
永遠にも等しい、長い退屈。それを紛らわすために行われる非道の数々。
何も脅威は内ばかりではなく。外からやって来る者たちの中にも、よからぬ事を考える輩は居るものだ。どうせ出られはしないのだから、訴えたところでどうにもならないのだから、と。
ひと月前、愛らしい少女がこの灯台にやって来た時。一瞬で、そんな暗い未来が脳裏を過ぎった。
きっとそれは杞憂などではなくて。これまで幾度も繰り返されてきた、近い将来に必ず起こる悲劇。]
(94) 2012/03/25(Sun) 17時頃