[女が小説家としてデビューしたのは、大学4年の時だ。
院に進むか、就職するか決めかねていた。
大学に残って特に打ち込みたい研究があるわけでもない。でも就職しておとなしく働くのも、できればもうちょっと先延ばしにしたい。
そんなナマケモノ思考でどうしようか考えている時に、ひょんなことからデビューが決まってしまい、今に至る。
ピュアすぎる世界観の小説は、20代女性にとても支持されているらしい。
どうせ嫌でも現実には直面するのだから、小説の中でくらいピュアな世界に逃避したいのだろうなと女は分析している。
そしてどうせ自分を投影するなら、けなげで可憐な女性の方がいいのだろう。
……だがしかし、作者である女自身は、そんなピュアな世界に逃避したいタイプでは全然なかったため、今現在ネタ切れで苦しんでいる。
しかしなまじ売れてしまっているために、方向転換を許してもらえない。
結果、女はピュアな世界ではなく酒に逃避して、締め切りチキンレースを開催する日々を送ることとなった]
(94) 2013/12/06(Fri) 16時頃