[辺りを注意深く観察しながら歩いていると、ここからまっすぐ正面に位置する廃屋で動くものを見つけた。金の髪をもつ、おそらくは人間の女の子。>>90
――あ、目が合った。
その次の瞬間には、見えていた姿が家の中へと隠れる。
容易に近づくのは危険だろう。そうは思うのだが、なぜだか近づいてみても大丈夫だと、根拠の無い自信が湧く。
彼女が消えた方をじーっと眺めて1分。
その間、向こうから仕掛けてくる気は無い様子。ならば――、
足音はなるべく立てないように気をつけて、駆け出す。
尤も、どれだけ気をつけようが、近づけば相手の耳に届くことだろう。周囲は閑散としていて、他に音を出すものはないのだから。]
―――よ、…っと。
[窓枠に手を掛けてひょいと中に飛び込めば、パンパンと軽く手を払う。彼女ともう一度目が合えば、今度はしっかりとその瞳を見据えて。]
やあ、こんにちは。
[まずはにこりと挨拶から。]
(93) 2014/12/26(Fri) 19時頃