――季節は少し溯り――
[ 少女がまだ入学して間もない頃の、とある日。
学園から寮へと帰る所で上級生に声をかけられた。
人当たりの良さそうなその人>>39には、安心させられながらもどこか吸い寄せられるような錯覚を覚えていた。
魅力的、と言うのだろうか。不思議な雰囲気がある。
これまでの狭い世界では、見たことの無いタイプだった ]
[ 新入生かと問われれば、少し緊張しながらはいと答えて。
案内の申し出には素直に喜び、お願いしますと伝えた ]
学園のこと、わからない事だらけで。お恥ずかしいです。
[ そういう役割の人なのだろうか、と最初は思ったが。
話しているうちにどうやらそういう訳でもなさそうで ]
実家も近所も、信仰の篤い地域だったのです。
毎日のように聖堂に通い続けて、今でも。
[ 案内中の聖堂では、そんな話を少ししただろう ]
(93) 2017/07/07(Fri) 21時頃