[>>89精神は逃げることを許さない。
だが、それが肉体の反射であれば話は別だ。
達する間際の、頭の中が白むような瞬間。それだけがヤナギに許された、現実と向きあうことを拒否する時間だ。
それを彼が気付くか否かは、己にとってどうでも良いことだ。
>>90嫌だ、といいながら熟れた中は蚯蚓の這いずることを許す。
しかし、蚯蚓は脆く、締め付けられればぶちゅりと不快な感触を残して潰れてしまう。
その残骸の上を、また新たな蚯蚓が這っていく。
己が手を伸ばすのは上半身のみ。ヤナギの下肢に与えられるのは、醜悪な蟲が与える、爛れた快楽だけ。
口元を覆う手に、そっと己の手を重ねて。]
……どうして、堪える?
その必要もないのに。
[これだから、ヤナギは「可哀想」なのだ。
そう思えば思う程、一層彼が愛しく思える。
その思いに呼応して、醜い蚯蚓達も、一層彼を喜ばせようと身をうねらせる。]
(92) 2016/06/16(Thu) 11時頃