どうして、って……。
[居場所を無くした子供みたいにぽつんと、頼りなげに零された疑問>>1:291に、恵冬は返す言葉を見つけられなかった。
慌てて取り繕いながらも、居た堪れなさそうに俯く様子に、どうしようもなく胸が痛む。
でも、何か言わなくちゃと焦るたびに、こんな場面で掛けるべき、最適な言葉は遠のいていってしまう。
誰がコマドリ殺したか。
詩の中では、Who done it(誰が殺したか)もHow done it(どうやって殺したか)も明確だ。
なのに、決してWhy done it(何故殺したか)は語られていない。
ただ淡々と、葬儀の段取りを進め、悲しむ小鳥たちがいるばかり。
恵冬自身も、そこに疑問をさしはさんだ事はなかった。
だって、よくこの詩が題材にされるミステリー小説では、“駒鳥”を殺した“雀”の動機は明確だったから]
(92) 2015/06/22(Mon) 15時半頃