―回想・5月2日夕方頃、自宅―
>>68
[小さなキッチンと一人用のベッド、真ん中には円卓があり椅子は2つ。奥には浴槽が無い浴室など。狭いながらも物が少ないなりに整頓されている部屋であった。2人を席に案内するとまずはクローゼットへ。職業柄、胸が開いた服が多いので、せめて少しでも覆った服をと探し、ミルフィに手渡す。「服が濡れたままでは風邪をひいてしまうわ。良かったら奥で着替えてね。元気があるならシャワーも使っていいから。」そう言い、マドカに後は頼もうと目を向ければ手渡されるハンカチに目を瞬く。]
気にしなくてもよかったのに。
でも、どうもありがとう。
[にっこり笑うとハンカチを胸元に寄せお礼を言う。折り目が少しズレているのは、わざわざ彼女がアイロンをかけてくれたからだろうか。嬉しくて使えないかもしれないと、棚にしまう。こうやって形ある大切なものが増えていく度に、マドカには幸せになってほしいと心から思う。そんなことを思いながらもキッチンに立って暫く経った己の手元は動いており、先程仕入れたばかりの茶葉を使ったお茶の準備は終えていた。スミレの花が、透明なポットの中でクルクル回り始める。]
(92) 2013/07/24(Wed) 18時半頃