―昼/大衆食堂『森の真珠』―
[オーレリアにおすすめを聞こうとし、返答を得たかどうか、というそのとき。入店時にも印象に残った、ぱっと人目を引く店員がこちらのテーブルにやってきた。
ひまわり色の髪に彩られた顔の中心には、明るい笑顔が満開に咲いており、まさに太陽の花といった風情。それはよそ者の自分にも屈託なく向けられて、弾む声ではきはきとおすすめを語る姿>>80からは、心から仕事を楽しんでいることがうかがえた]
ありがとうございます。ちょうど、何を頼もうか迷っていたところでした。
[そう返しつつ、頭の隅でなるほど、と思う。この店が繁盛している一因は彼女にあるのだろう。
カリュクスは世間の耳目を集める存在として、ふさわしい振る舞いを身につけてきた。美しいかたちの慈愛の微笑み、いかなるときも泰然とした目。
だけどそんなもので固められた顔よりも、森の真珠の看板娘である彼女の笑顔の方が、ずっと価値があるように思える。
生き生きとしている。
カリュクスとは対極の存在といえた]
(92) 2017/08/11(Fri) 11時半頃