[豆に湯を注いだ瞬間、もこもこと浮かぶ泡が好きだ。じゅうぶんに蒸らし抽出を待つ間に現れたのは、丁度思い返していた客。>>70だった。彼もまた昨夜はそれなりの売上を貢献してくれたっけ。
湯剥きしたトマトと少しばかりの岩塩を混ぜ、凍らせたトマトジュースと共にミキサーにかけたものを手渡す。]
はいよ。二日酔いに効くんだよな、これ。
そいやあんた、蜂蜜ヨーグルトスムージーのこと
覚えてるか? 何なら違うやつにしてもいいぞ
[えらい女子力の高そうな飲み物。一体どんな奴が頼むのかと思いきやなるほど。なるほどの先は言葉にせず。]
おい、傘……あーあ。
[そのままさっさと出ていった背中に、ため息を吐く。こういう客は案外多い。一通りのオーダーを請け負えると玄関付近に籠を置いた。中身はややほつれ、肌触りの悪くなった廃棄間際のタオルたち。無償提供の意味で『TAKE FREE』の札を下げる。]
(91) 2017/07/08(Sat) 23時頃