[男が声をかければ、彼は面白いくらいに温度を無くす。先程までの人懐っこい、若者らしい振る舞いをどこにしまいこんだのやら、すい、と細められた目はこの風のように冷たい。あの時>>0:267と同じように細められているはずなのに、一体何故。出会って年月の浅い彼。頭をかき撫ぜればくすぐったそうに笑う彼のことを、男は一等可愛がっていた。彼も、悪い気はしていないと思っていたのだが。態度の変化は季節が移り変わるように。夏から冬へと、厳しい寒さが増していくように。未だ春は、訪れない。]
(91) 2015/11/12(Thu) 21時半頃