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機械仕掛けの騎士《エクエス・エクス・マキナ》
テッド・茂呂河=オースティンに発現したこの異能は、その能力の所有者に発生した肉体的欠損を機械で補完するという、控え目に言って頭がおかしいとしか表しようのない力であった。
そも、自分が傷つくことが前提にあり、その身体を使った戦闘まで視野に入れるとなるとこれまでに彼が味わった苦痛は計り知れない。
混じりっ気のない白の手脚にチク・タク チク・タクと時を刻む時計の心臓、置き換えられた機械の身体は何処までも頑強で、仮に破損したとしたところで無限に修復されるが、その代価は果て無き苦痛。
ーー無敵。
その名を関するに相応しいチカラだ。
ただ一つの弱点、其処だけは機械に換えられず、万が一大きなダメージを受けてしまうと完全に機械の身体が停止してしまう、この能力にとってのアキレス腱を除けば……だが。
それでも、問答無用に相手を屠る純白の四肢を前に立って生き長らえるなど、到底不可能なはず。
だと、言うのに。]
(91) 2014/06/15(Sun) 19時頃