94 月白結び


【人】 小僧 カルヴィン

 確かに。
 鶏が先か、卵が先か。

[因果性ジレンマの有名な一節である。
僕はそれを口にして、茶屋の一番端の席。
昨日とまったく同じ場所に腰掛けた。]

 いい思い出。

[梅子はいい思い出を作れという。
いい、とはなんだろう。
思い出、とはなんだろう。
店主へと指を立てて注文――というよりも恐喝かなにかにさえ思える――している梅子。
喜壱はどう反応しただろうか、僕は煤けた蘇芳を二人へと向け。
それから、机の木目にその視線を移した。]

(90) 2013/09/01(Sun) 15時半頃

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