[扉の向こうにいたケイイチの姿に目を瞠った。
ケイイチは、なんだかぼろぼろだった。杖に、眼帯に、包帯。満身創痍といった様子。
大丈夫なの、と言いかけて飲み込む。
告げられた言葉に、今度は別の驚きに目を見開いた]
……ロマンチックなタイプじゃないって、言ったじゃない。
[やっとのことで口から出てきたのはそんな言葉。違う、こんなことが言いたいわけじゃない。
やっぱり自分は、どこまでも可愛げがない。
でも仕方ないわよね? これが私なんだもの。そしてその呪いは、解けなくてもいいんでしょう?]
……私も。ケーイチがいれば幸せよ?
そう、伝えたと思ったのだけど。
[ああ、顔が熱い。うつむきたくなる顔を、それでも上げて、ケイイチを見つめて笑った]
私の全部をあげる。
だから、ケーイチを私に頂戴?
……私も、ケーイチのこと、愛してるから。
(89) takicchi 2015/03/14(Sat) 01時半頃