まあ、最初は受け入れられぬものさ。
私自身、覚悟はあれど、いざこんなものを見てしまったらなあ?
[ぱしゃぱしゃと水掻きから水を振り払い、口角をつり上げた。]
なに、貴様を『人でなし』と扱うのは、私ではない――己自身が認めてしまうのだよ。
貴様はそんな姿を鏡に映し、それでも『人であり』とのたまうことが出来るかな?
[黒い薔薇で飾られた漆黒の剣を前に、掌に水を集める。]
一族の呪い――海魔の嘆きを乗せる呪言≪ジュゴン≫は、その身を蝕み、真躰≪マナテイ≫を現す。
そして、呪いにより身体を乗っ取った後、海魔――精煉≪セイレン≫は蘇り、一族を破滅へと導く……と。
ふん、まだまだ成り損ないとはいえ、この首が簡単に落ちるものならば、とうの昔に落ちておる。
さて、貴様にこの首を落とせるかな?
[目の前に水の球を浮かべ、にやりと嗤う。]
(89) 2014/08/25(Mon) 00時頃