ー ロビー ー
[ロビーにはエリアスさんがいた。僕は挨拶もそこそこに、テーブルの上に置いたあのメモに向き合う。
『幽霊が死者の惨劇を起こしているのではなく、死者の惨劇のルールに幽霊が従っている。』
ヒントは、今日のエリアスさんとムパムピスさんの会話の中にあった。
二人とも、幽霊が僕たちを恨んでいて、殺そうとしていると考えているようだった。僕もそう思っていた。
でも、それはおかしい。
『幽霊はその気になれば一晩に三人以上殺せるはずだ。』
僕たちを恨んでいて、殺そうとしているなら、なにも一人ずつ殺す必要なんてないじゃないか。
『最初に三人が死んだ。死者の惨劇の儀式が始まって、一晩に一人死んで、一人消えるようになった。』
七人がいなくなった、と言い換えることも出来るけれど、考えようによっては
『儀式が始まって、犠牲者が減ったのだ』
だから、幽霊の本当の目的は、僕たちを全員殺すことじゃない。結果としてそうなったとしても、目的は別にあるはずだと僕は考える
『幽霊の本当の目的は、死者の惨劇を、出来る限り長引かせることじゃないだろうか? 死者の惨劇の間だけは、生きていられる』
(89) 2013/02/10(Sun) 22時頃