【人】 座敷守 亀吉

[鞄にしまっていた黒の携帯端末を探り当て、視線を落とす。
画面にはメールの受信を告げるアイコン。
それをタップし、入洲河から送られてきた、寮の割り振りの連絡に目を通せば。

― 一人は月影。それには少しほっとする。
これから同じ部屋で共に生活していく相手なのだから、知り合いなら気安い。
そして、もう一人は…]

…え、えええ？
女生徒と男子生徒が同室？

[大声に注目される事もあっただろうが、青年はそれどころではなかった。
ほぼ初対面の年頃の男女が同室など。
いや、間違いなど起こさないと信じているけれど。
青年は慌てて不慣れな手つきでメールを作成し始める。
送る相手は傍にいるのだけれど、それは青年の頭から抜けていた。]

(89) 蒼生 2013/08/26(Mon) 22時頃