-5月5日 正午前 どこかの地下牢-
[目が覚めると、撃たれた腕と脚に激痛が走った。
まるで、心臓がそこにあるかのようにドクドクと脈をうっている。
体は仰向けにさせられ、腕は組む形で。脚はぴったりと閉じるような形で寝かされていた。
着用していた衣服とは異なる肌触りの布の上からベルトのようなものを巻きつけるようにして、僅かな身動きさえも取れないほどの強い力で押さえつけられている。恐らく、気絶をしている間に拘束衣に着替えさせられたのだろう。
--噛み痕を見られた…ということか。
首元も寝台へと繋がれているであろうベルトで拘束されているようで、目だけを動かして周囲を確認する。
薄暗いじめりとした空気の漂う、石造りの狭い部屋が目に入った。
防護服に身を包みマシンガンをこちらに向けて構えていた機動隊員がこちらに気がついたようで無線で誰かを呼んでいる。
やがて近づいてきた複数の足音に対し、今から起こるであろう出来事を覚悟して、そっと目を閉じた]
(89) 2013/07/28(Sun) 21時頃