277 黄昏草咲く出逢い辻


【人】 刻字座 ヴェルヌイユ

― 枯れ木の森 ―

取って食いはしないから、安心しろ。

[青年の緊張を感じると、取り敢えずありがちな言葉で宥めようと試みる。

案の定、番ではない、と、青年は返答したが、縁がなければ、ここに呼ばれはしないことも明らか。]

手を貸そうか?

[穴から出ようとしている気配を感じて、ゆるりと足を踏み出し問いを投げる。

恐ろしい鬼に触れられるのを拒む人間も少なくはなかろうと。無理にとは言わぬつもりだが、断られなければ、軽々と青年を穴の外へと引き上げるだけの膂力はある。*]

(89) 2020/06/05(Fri) 00時半頃

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