[よし、こんなもんで良かろう。
オレンジジュースの香りを悪化させて、作業を切り上げる。
このタオルどうしよう。あと甘ったるい制服。
水で濡らすくらいはしておこうかなあと、そのあたりまで考えた時に、響く小鳥井の声>>62に、発生源をぼんやりと眺める。
やはりまっすぐな人である。眩しい。
そんな心持ちだったものだから、突然投げかけられた女の声>>75にヒャアと小さく悲鳴が漏れた。
そうだここ共学なんだ。そして、写真。]
おっ俺は、
[写真。正直ロクな思い出がない。
アルバムの中の自分は大概泣いているか泣く寸前かだし、
メキメキと背が伸び出した中学時代中盤。兄からの指摘を思い出す。
『お前、もう黙って真顔で口閉じてろ』
つまるところへらへらりと浮かべる笑顔は、目つきや身長と不釣り合いでなんとも不気味だった。
なので最近の写真は、ほとんど無愛想な男が突っ立っているだけのものでーーたまに教室の隅っこに暮らすタイプの友人らに並んで、なんとも力の抜ける笑みを浮かべているばかりである。
そんなこんなで写真は得意ではない。]
(88) 2014/10/18(Sat) 12時半頃