―5月3日朝7時頃、第二封鎖線付近―
>>76
…そんな大切なもんならもっと大事にしなよ。
[ペンダントを受け取った青年の泣きそうな笑顔を見て、呆れたように言い放つ。普通の人間なら共に喜ぶところなのだろうが、そんな性格ではない。満足に食べられていない上にずっと歩いて来た疲労感の方が強かった。それでも彼を追ってきたのは、中に入った彼の家族らしき写真を、途中で見てしまったためだろうか。なぜか、意地でも届けなければ、と思った。]
名前?パティだけど…礼なんて…
[いい、と言いかけて思い出す。誰かに出会ったら聞きたいと思っていたことがあったはずだ。ポケットから乱暴に折りたたんだチラシを取り出す。]
あんた、字読めんだろ?
礼はいいから、コレ、何て書いてあるか教えてくんない?
[その内容が、彼と話していた軍人らしき男を苦しめているとは、彼女に気づく由もない。]
(88) 2013/07/24(Wed) 13時半頃