― コンピュータルーム ―
[低い重力の中はまるで時間がゆっくりと進むようだった。張り巡らされた手すりをたぐり、トランポリンで遊ぶ子供のような滑稽な歩行で進む。オゾン臭がする。高電圧によるオゾン発生による機内の酸素消費を減らすべく、こうした演算装置を集積した部屋には酸素を充填しない船も多いが、この船はその方式をとっていない。私はこの匂いが結構好きだ]
[何のんきなことを考えているんだ、と思いながら、通信で上に話しかける]
コンソールルーム、聞こえているか?
とりあえず、メインコンピュータに接触した。
[メインコンピュータは見上げるほどの巨大な箱だ。500階以上に及ぶ、メガストラクチャを思わせる無機質な箱には、規則正しく配列されたランプが、嵐のように明滅している。あるいはOllovaのようだった。小さい輝点を身震いさせて、総体で文学を物語るかのようだ]
(88) 2016/05/17(Tue) 06時頃