お、おい!何だよこれ!なあって!
[震える声で去っていく背中を見送るが果たして答えはあったかどうか。子供みたいなやつに飛び掛ろうとしたのか、ヘクターの爪が顔の横を掠める>>81]
あぶ…!おいやめろっヘクター!
[本当なら敵を見送る真似はしちゃならないし、いつもなら先陣切って殴りかかるのは俺の仕事、のはずだった。
なのに情けない事に脚は床から生えたままピクリとも動いてくれない。
見上げたヘクターの首には銀色の首輪が光る。俺が握っている鎖の先を辿れば、その首輪に行き着いた。
犬扱いするな、と言ったはずだ……自信はあまり無いけれど]
……ヘクター、頼むから、追いかけないでくれ。
[敵を見逃してまで何を求めているんだろう。でも、漸く会えたのに、また一人になるのが怖い。これは完全に俺のエゴだ。分かっているのに、問わずにはいられない]
(87) ヨキ 2016/06/19(Sun) 23時半頃