―回想・5月1日午後5時半、三元道士―
>>65
そりゃそうだけどなんかちょっと笑えたからさ
[広げられた両手に目を瞬かせ、己の軽口に苦笑を浮かべてみせた。後ろ手を離した扉が閉まる軋んだ音を背に店内奥へと歩を進め]
あー、じゃあそういう事にしておいてくれ
――症状っつぅか…栄養失調ってのかな?
衰弱しちまってるから精のつく薬があったらそれが欲しい
[空惚けたような仕草に僅かに羞恥は薄れたものの、初対面の人間の前で取り乱してしまった事実が消える訳でもなく――有り体に言ってしまえば決まりが悪い。だから話題の変化はむしろ有難くはあったのだ。
飛び出していくほどの元気はあったようだけれど、朝の衰弱ぶりを考えればマドカへの心配は残る。休養と食事、それ以外にも出来るだけの事はしてやりたかった]
――え、あ、そういうんじゃなくて、ってそれも失礼っつーか………あんた揶揄ってるだろ
[どうにも――調子が狂うのに怒る気にはなれないのは彼の纏う雰囲気のせいなのか、それとも昼間出会った時の遣り取りを思い返すせいなのか、それは定かではなかったけれど。
強くは出られぬままに顎を引き幾らか拗ねた表情を浮かべて視線を逸らした]
(87) 2013/07/24(Wed) 13時半頃