―Xday+3日後 15:00・喫茶店―
[無言の時間は実際のものよりもずっと長く…まるで無限のようにも感じられた。
意識も身体も、彼の気配を探ろうと張り詰めているのが自分自身でも良く分かる。
だからシーシャが手を伸ばした事も、それが気配を忍ばせてだった事もわかってはいたのだけれど。
殴られても当たり前、そんな風に思ってこの場所へと赴いたのもまた事実だったから、ただ息を詰めてその時を待った]
――ッつ…ぅ………。
[不意の掛け声に身を竦ませ……けれど感じた衝撃は身構えていたものとはまた別種の痛みだった。
情けない呻き声を上げて反射的に瞑った瞼を開くと、痛みに視界が僅か滲んで見えた。
恐らくは赤い跡の残る額を抑えながら顔を上げた先、シーシャの笑顔に気の抜けたような表情を浮かべる。
ああ、やっぱり人が好い。
きっと彼にはいつか似合いの可愛い恋人が見つかるだろうと、唐突に思う]
(86) nanono 2014/03/29(Sat) 01時半頃