[落ち着いた少女に道を教えて。お礼がしたいと言われた。やはり従えば、というか人助けとはなにか得をするものだ。喜びで胸は弾み、]
おねーさん、あの店のもの、買ってよ。僕ずっとあれ食べたかったんだ!
[笑顔で店を指さして。買ってもらったハンバーガーを、がつがつと食べる。すぐになくなってしまうそれに虚しさを覚えるも、少女は二つ目もくれた。いいのかと目を丸くしながらも、いつも空腹な少年はすぐさま平らげる。
ふと、周りの視線を感じた。一般人の刺すような目つき。]
(ああ、ここにはいるべきじゃないな)
[一応こそどろストリートチルドレンなのだ。長居は危険。そう感じ、少年には何も言わず、猫のようにしなやかに立ち去る。
お姫様を助けた貧乏人。その褒美のたった二つのファーストフードは、忘れられない味だった]*
(86) 2016/07/29(Fri) 23時頃