──回想:四年前の、特急内で──
[俺は、仏頂面でその席に座っていた。周りに人は1人もいない。車内は生徒達でごった返しているというのに、だ。
俺は、その理由を知っている。まだ幼い顔つきながらも、今と同じように表情の変化が乏しく、いつも怒っているような顔。
新入生の誰もが、恐れていた。そんな中。]
「わたし、クラリッサ・アレグレード!
これからよろしくね!
あなたは?」
[そんな、無邪気な声が聞こえたのだ。俺は、おずおずと振り向き、こくりと頷く。]
……よろ、しく。
俺は、ヴァンハート・...キルロイラート
─…呼び方は、好きにするといい
[人見知りするように、けれども嬉しさをにじませた声でそういう。
ゴニョゴニョと名前をぼかしたのは、嫌われるのを恐れたから。
ヴォルディトという、かの人の名を模した名など、いう必要は無い]
(85) 2016/02/21(Sun) 05時頃