>>61
ああ、ヤナギさんが。
[この部屋の前で、その話をした時の事を思い出す。
四井と事に及んでいる間に、彼が戻って来なかったのは幸運だった。今更のように安堵する。自分の"食事"に突き合わせたようなものだが、なるべく人に見られたいものではない。
そのヤナギが今は何をしているかまでは、思いが至らない。
彼なら、この状況でもまだ冷静だと、廊下で会った時に確信していた。]
あー……、いや、眠ぃのも腹減ったのも、今はそこまで酷くはねぇよ。食欲は、まあ、なくはねぇし。
[その食欲の質が変わったことも、無闇に伝えていい話ではないと思った。伝えたところで、誰でも彼でも精液を飲む気にはまだなれない。――例えば目の前の、影流とか?
そこまではまだ堕ちちゃいねえよ、と、僅かに冷静さを取り戻した頭で、内なる欲を振り払う。]
(85) 2016/06/09(Thu) 23時半頃