[勢いよく振り下ろした氷塊はアイリスの意識を奪うには充分のものだったようで、どさりと倒れ立ち上がろうと藻掻くのを見下ろす。>>76
背後からの声に振り向けば、怒りを露わに長刀を振り下ろすパトリシア。>>79]
っ…ぁ、…!!
[避け切ったと思われたそれは、切っ先が微かに腕を掠める。突如襲う鋭い痛みに、顔を歪め腕を押さえた。
毒かと思ったが、振り下ろす直前に聞いた何かの呪文から魔法だと知る。
間に割って入る彼女の後ろで、アイリスが体を起こすのを認め。]
…っは、…どーも
[ありがとう、と言うアイリスに腕を押さえながら笑う。
向かってくるつもりなら、本気でやらねば流石に厳しいだろうかと相手の出方を窺っていると、手伝おうかと問われ。]
…好きにし
[先程よりも濁った朱い目から視線を逸らす。同じ色だろうのに、どうしてかいまいち美しさを感じない。
ああだから成り損ないかと適当なことを考えながら、パトリシアを見る。彼女は友人のこの姿にどんな反応を示すのだろう。
ただの人間だと信じていた人が、化け物と同じようなものだと知ったら。]
(84) 2014/02/27(Thu) 23時頃