[そうして落ち着いた坊主を引き剥がし、籠を肩に掛けてやり。離れ難そうな声を出されれば、少しだけ気まずくはあるものの、乱暴に涙を拭ってやればそれも不満気なモンに変わってくれる。
今度は素直に飛んできた礼には、目を細めて満足そうに頷いて。それでも残った涙を長い袖で拭きつつ呟かれた言葉(>>76)には、少しばかりきょとんとしてしまったが。]
何を今更……そりゃあもう慣れたからいいんだよ。
だがお前さんが泣いてりゃ、どう見ても俺が泣かせたって思われる。
[――事実、泣かせたのは自分なのだが。しかしあくまで坊主のせいだと、そういう体で話を進める。
そりゃあそうだ、今回にしても自分は籠を拾っただけだ。一人で勝手に拗ねて、いじけて、言い返されて泣いたのは坊主が悪いだろう。
"居辛くなるのは御免なんだ"、と。腕にかかる体重には気付かんフリをして、視線は前へと向けたまま、腕を引くように歩き出した。]
(84) 2015/04/10(Fri) 16時半頃